sea-dragonのブログ

心の中の本音・・・

初対面

そのBarは急な細い階段を上がった2階にあった


4階建ての細長いビル


その日は暗くてよく見ていなかったけど


1階は海の中の写真を前面に描いたシャッターが下りていた




なんやろ?と思っていたが


後日ダイビングの器材置き場に使っていることを聞き納得




やっと着いた~


という思いと


2階から聞こえてくる笑い声や話し声に


少し戸惑いを覚える・・・





なんて言って入っていけばいいんだろ


こんな辺鄙な場所にあるBarなんて


常連しかこないよね・・・




はじめましても変だし


どうしようかとドアを開けるのを一瞬躊躇したが


ここまで来て入らないのもおかしいよね・・・




と思いつつそっとドアを開けた




すかさず待ちかねた常連を迎え入れるかのように


久しぶり~元気にしてたか?


と写真のあの人が親しそうに


カウンターの向こうから声をかけてきた




メールでのやり取り数回


電話で話したこともなく


動かない写真でしか知らない彼




動くリアルな彼の第一印象はやはり


今まで出会ったことのないタイプで


なんとも言いがたい




特別カッコイイとか思わなかったけど


雰囲気はもってるなって感じ


まま、好印象・・・




嫌ならすぐに帰ろうと携帯の偽着信の設定を30分後にしていたが


予約を解除し腰をすえて飲むことに決めた




客は女性が2人男性が1人


いずれも親しそうに話しているので常連さんのようだ




店の中は海賊船を思わせる雰囲気で


ほどよい暗さが初対面の気まずさを隠すには丁度よかった




カウンターだけの狭い店


スツールに座ると後ろは人が1人通れるぐらいの幅しかなく


その壁には一面に写真が貼ってある




1人だし、話し相手の彼は他の客の相手もしているので


手持ち無沙汰も相まってその写真を何気に見てみる





ふ~~ん


ダイビング?


ダイビングしてるのか




なんて思っていると彼が私の前に戻ってきて


夜はBarのマスター


昼はフリーでダイビングのガイドもやっていると


教えてくれた




写真は彼が主催するダイビングサークルのメンバーと行ったときのもので


どれもこれも楽しそうな笑顔をこちらに向けている


みんなはじけまくってる笑顔


海の中の写真もあり、わたしにとっては未知の世界・・・





急激にアンテナが立つ


この人おもしろい!ってね





私は自分の知らないことを知っていて


それを教えてくれる人に昔から弱い・・・





興味があるなら一緒に海行こか




の彼の言葉に即座に


うん!と返事をしていた




うん!って(笑)


なんの躊躇も無く「うん!」って返事をしてしまった自分が


もうすでに彼の術中にハマってしまっていたことに


田舎娘?田舎者の私はこの時は気づいておらず






この後、男性客が帰り女性客も終電の時間だからと


こちらを少し気にする様子で立ち上がったとき


じゃあ私も・・・


と財布を出した私を


やっと2人でゆっくりしゃべれるから


もう少しいいやろ・・・な!


と言って引きとめた彼にちょっとドキっとし


じゃあ、もうちょっとだけ・・・ね・・・




と言って半分腰を上げていたのに


座りなおしてしまったのである





このとき帰ればよかったと


後々つくづく後悔することになることも知らずに・・・

出会い

記憶をたどる・・・



そもそもの出会いは


かれこれ7,8年前になるのか・・・?


定かではないが6月であることは間違いない




記念日はなんとなくで覚えている


その度に格別何かお祝いをするようなタイプの女ではない私


だから何月何日という覚え方はしていない





じゃあ、何故6月だと7、8年も前のことなのに


確信があるかと言えば


私の誕生日が5月


誕生日を過ぎてすぐに前の男と別れてしまい


むしゃくしゃしていたので出会い系サイトに登録




そこでひっかかった数人の内の一人が今の内縁である


簡単な関係・・・


会ってご飯食べて酒でも飲んでバイバイのつもりで会った


数人のうちの一人




出会い系サイトって登録すると


餌に群がる鯉のようにわさわさと男が寄ってくる


「はじめまして、よかったら・・・」のメールが


一日中私の携帯をうならせる




返事を書く間もなく次から次へとメールの着信があるのである


従来面倒くさがりの私が全てに対応できるはずもなく


携帯が静かになってから数人、無差別に返信した中に彼がいたのである




じゃあ、なんで興味をもったか・・・


単純に彼の写真と簡単な自己紹介がひっかかった




ちょっとはにかんだ笑顔と顔立ち


やんちゃそうな雰囲気


今まで出会ったことがないタイプかも・・・





自己紹介を見る


Barを経営しているのね・・・ふんふん


お酒飲みついでにお店に行けば


2人っきりで会わずにすむし


嫌なら飲み代払ってサッサと帰れるし


なんて・・・


会うことには何の抵抗も無く


「店に会いにきて」


のお誘いにあっさりOKしたのである




6月といえば梅雨時


その日も雨だった




Barのある店は教えられた最寄り駅からかなり遠く


駅前の商店街を通り抜け、なんだか暗い住宅街を


雨の中、ひたすら歩いた




途中で


ホントにこんな駅から離れた住宅街にBarなんてあるの?


出会い系だからやっぱヤバイかな?


騙されたのか?


と頭の中を不安がよぎる





道を間違っているのかと思い


彼に電話をして確認する・・・


どうやら間違っていないらしい・・・





この時点であやしいな~と思いつつ


せっかくここまで来たんだし


このまま帰るのも来た時間を無駄にするようで嫌だし


という、いつもの意地っ張りなわたしの悪い気性が出てしまい


たどり着くまでとことん歩こうと決めて


確かな足取りで歩くこと20分・・・






やっとそれらしい看板があやしい光を灯していた






自分の誕生日の後


雨が降っていたその日


傘をさして暗い道を華奢なミュールでとぼとぼ歩く


足元はびちょびちょ


このキーワードのおかげで出会いは6月だと覚えているのである

内縁というより寄生だな

今日も満員電車でもみくちゃにされながら無事会社に到着


自分のデスクに座るとホッと落ち着く・・・




なんだか内縁が夕食を作って


まだか、まだかと私の帰宅を待ちわびている自分の家に


帰るほうが今の私にはストレスかもしれない・・・




息子は長男が25歳


次男が23歳


男の子だし、いずれ一人暮らしをするだろうと数年前から思っていたけど


一向に出て行く気配もない


今のところ2人とも彼女もいないようだ・・・




ま、それはいいんだけど


内縁の方には本当にいずれ別の女でも作って


出て行ってもらいたいと本気で思っている




子供への愛情は永遠であるが


内縁への愛はとっくの昔に冷めているので


ことあるごとにチャンスとばかり


「じゃあ出て行ってよ」


というフレーズを口にする私・・・




何度も言い争いになるが一向に出て行く気配はない


生活の全てを私に依存している彼には


今の内縁関係を解消するのは本人曰く


「あり得ないこと」だそうだ





早く別の寄生先を見つけてくれ!


と心の中で叫びながら


私は今日も眠りにつくのだろう・・・